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思い その30「千と千尋の神隠しの”顔無し”が象徴するもの」


顔無し先日、テレビで何度目かの「千と千尋の神隠し」を見ました。この宮崎駿監督の作品は、「風の谷のナウシカ」も、古い所ではCATVでやっていた「未来少年コナン」も、何回見ても、また見てしまうのです。やはり、良い作品というものはそうなのでしょう。

で、「千と千尋の神隠し」の中に出てくるあの「顔無し」、もう何度も見てはいますが、そのキャラクターについて何となく考えてしまいました。ただの化け物ではなく、何かの「象徴」なんだろうな、と。

顔無しは最初、湯屋「油屋」の敷地に立ち、入ろうとするでもなく、ジッと佇んでいます。その顔無しを、千がお客と間違えて、「どうぞ中へ」と声をかけて油屋の中に招き入れます。この時点で、顔無しにとっては千が最初に「自分を認識してくれた相手」となるのでしょう。顔無しは油屋に入り込み、誰かを喰ってそのキャラクターを借ります。最初はカエルだったかな…。

顔無しはそのカエルのキャラクターを借りて「人格化(?)」し、油屋の中でその手から金塊を出し、お大尽扱いされます。とにかくドンドン喰い物を持ってこさせ、喰らっては金塊を手の上に溢れさせ、宿の従業員たちは我先にそのご機嫌をとって、金塊を奪い合います。この時点で顔無しは、皆からチヤホヤされる事で、際限なく「貪欲な存在」となり、自分を笑った者(因縁)を喰ってしまい、またそのキャラクターを自分の中へ取り込みます。最初に会った千を呼べと命じ、現れた千に喰い物や金塊や、欲しいものは何でも与えると、その気を引こうとしますが、千はそれどころではない。傷ついた龍のハク(愛している)の事が気になって仕方がない。顔無しに対して「何もいらない」と言い、「早くおうちに帰った方がいい」「お父さんは、お母さんは」というと、顔無しは「やめろ」「さみしい」「千が欲しい」と身もだえする。千が神様からもらった「にがり玉」を顔無しに喰わせると、「何を喰わせた、おのれ!」と、裏切られたとばかりに千を追いかけ回します。

にがり玉のおかげで、喰らった者たちは吐き出されて命拾いをし、そして、顔無しはもとの、存在が希薄な顔無しに戻っていく。

話が冗長になってしまいましたが、これら一連のストーリーを見ていて思ったのは、「あの顔無しは”承認欲求”の化け物か…」という事です。

人は他者を認識する事で相互の関係を作り、また、他者に認識されることによって社会的存在(人格)となります。少々大雑把にいえば、マスローの第四段階の「愛されたい」「尊敬されたい」という段階の欲求です(マスローの五段階欲求モデルに興味のある方は、本サイトの「補足説明※13」をご参考ください)。

ここが「承認欲求」であると考えるのですが、自分を「承認してもらいたい」。そして、それが叶わないと「何故、認めない」という、少々グロテスクな「被害妄想」へと変わる可能性があります。マスローのモデルでは高次の欲求なのですけど、顔無しが千を追っかけまわす姿は、まさにそれで、これはストーカーと呼ばれる連中の姿ではないでしょうか。

千は顔無しにとって、最初に自分を「認識」してくれた存在という事が「刷り込まれ(Imprinting)」ているのでしょうか。生物が、生まれて最初に目にしたものを「親」であると認識するのを「刷り込み(Imprinting)」といいますが、顔無しにとってはその最初に自分の存在を認めてくれた千が、突然、自分を拒む事に戸惑い、それが恨みへと発展していくのでしょう。

この「承認欲求」というもの、本来的には不健全なものではありませんが、それが「~してくれない」という被害妄想に変わった瞬間、人の心はダークサイドに突っ込んでいくのかもしれません。

顔無しは、最後、ゼニーバという魔法使いの仕事を手伝うという事で、かろうじて自分の「承認欲求」を健全な形でささやかに満たしたのでしょう。

「~してくれない、してくれない」と欲求ばかりする者をかつて「紅(くれない)族」と称していた時もありましたけど、人間という社会的動物が、どうしようもない「宿痾(しゅくあ:逃れられない不治の病)」として背負っているのが「健全な関係作りの失敗」なのでしょうか。「顔無し」はその象徴。

「千と千尋の神隠し」という、エンターテイメント作品を眺めながら、ふと、そんな思いに脱線しました。

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