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思い その28「哀しくともこれが現実… 人生の消耗」


消耗 イメージ過日、新聞の中で「人生の消耗」なる言葉を見つけました。要は、介護の話です。これはどう頑張ろうと逃れる事の出来ない現代社会の現実なのでしょう。私も自分の両親、そして、家人の両親ともう十数年、介護が生活の一部となっています。私の両親は既にこの世になく、家人の母親ももういません。言葉は悪いのですがあと一人だけとなっています。

ここまでの介護にかかる精神的、経済的、生活的な負担は、正直な所、もう勘弁してください、と言いたかったのが本音です。特に私の両親の場合はまだ、社会的に「介護」の負担というのがそれ程問題化している時代ではなかったので、「親の面倒をみるのは当然」「それは個人的な問題」という空気が旧態依然として残っていました。

今は、そのような時代とは多少違います。国もこの問題に「それなり」に対応の姿勢を見せ始め、企業も多少は「理解」を示すようにはなっています。しかしながら、自分の経験を踏まえて言えば、やはりそれは「個人」の負担によって何とかなっているものであり、その負荷は相当なものです。

特養であるとか、デイサービス、グループホームなど、以前とは比べようもないほどに環境は整い始めていますが、現実的にはまだまだ…。これからこの問題はますます深刻なものになっていくのは、残念ながら間違いないでしょう。

しかし、ここで「ふと」思います。この問題は今になって起こった問題なのでしょうか。私が子供の頃はどうだったのでしょう…。平均寿命、ではなく正しくは平均余命(その年の人が平均して、あと何年生きられるか)を厚生労働省の資料で見てみると、私が子供だった1960年代には、0歳の男性で65.32~69.12年、0歳の女性で70.19~74.67年。2000年代には、0歳の男性で77.72~79.59年、0歳の女性で84.66年。それぞれが大幅に伸びています。1960年から2009年では、男性が約12年半、女性が約13年半伸びています。まさに長寿大国日本であり、最近では男女が肩を並べています。

これは、食糧事情の変化や、医療の進歩など、様々な要因がありますが、誠に喜ばしい事なのでしょう、…か? この数字が上がっていくと同時に、その晩年に「介護」という問題が大きくなってきているのが事実です。誤解を恐れずに言うならば、「人が長生きになって、起きた問題」が「介護」であると言えるのではないでしょうか。本来は喜ばしい「長寿」が、社会問題として大きな「負荷」をもたらしている事はどう解釈すれば良いのか。

最近では「健康寿命」なる言葉が出てきました。これはWHO(世界保健機関)が2000年にこの概念を公表しましたが、健康で支障なく日常の生活を送ることができる期間のことで、これは算出方法が少々ややこしいのですが、厚生労働省がその具体的な推計値を公表した2010年(平成22年)の健康寿命の平均は男性が70.42歳、女性が73.62歳。

つまり、これを超える寿命を迎えると、そこには「要介護」の生活が待っているという事です。日本人の平均余命はそれをとっくに超えています。

唐突ですが、親が子を育てるのは殆どの哺乳類に共通していますが、「子供が親の面倒をみる」のはおそらく人間だけでしょう。同じ社会性を持っている犬や猿などでは知る限り、そのような事は見られません。人間だけなのは、作り上げた社会が「高度」なものであるが故と、人間だけが持つ道徳観、倫理観故でしょう。簡単すぎる答えですけど…。

「長寿」となったが故に、今では「人の人生が、人の人生を消耗させている」という何ともやりきれない事が顕在化し始めているのです。「老々介護」なる言葉さえ生まれています。

それを嘆くしかないのでしょうか。いえ、違います。もっとドラスティックに手を打たなければならないのです。もう、「個人負担」の域を超えているのです。嘗ては多少の緩衝機能であった地域(コミュニティー)も今は崩壊しています。それを認め、社会全体でその「負担と消耗」をシェア、分け合わなければどうしようもないレベルに来ていると強く感じます。

古来より「長寿」を望んできた人間の行き着いた果てがこれでは、やり切れません。国家の経済的負担の問題もあるでしょう。特養の設置数も、そこで働く者の数も十分ではありません。しかし、この問題を一部のものの問題として見ている風潮があるとしたら、数十年後に「見たくもない」社会をわれわれは迎える事になる確率がかなり高い。

もう道徳観とか倫理観とかではなく、国の機能としてこの問題に取り組まなければ、間に合わないでしょう。もう、「個人の人生の消耗」の上に成り立っている社会が、現実のものとなっている事を認めましょう。全員で。

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