「不思議」「怖い」「変」を普通に考える。タイトルバナー

怖い その9「知り合いから聞いた話ですが、子供の幽霊…」


子供知り合いから聞いて、ジワッと怖かった話…。

20代後半の頃の話です。知り合いとは、女性でしたが、作家を目指して原稿用紙と毎晩格闘していた方の話です。その彼女、風貌はノホホンとして、性格もおっとりとした感じで、私もいずれは物書きを経験するのですが、その時は自分がそんな事をするとは思っていなかったので、「大変な世界に入り込んじゃって」なんて斜に構えて見ていました。どんな作風の小説を書かれていたのか知りませんでしたが、ある程度出版社の方とのお付き合いもあり、デビューの話も出始めていたころに、私が業務契約していた会社で、アルバイトをされていました。

余談ですが、彼女はタケノコが大好物だそうで、「タケノコって、本当に美味しいですよね」と情感たっぷりに言われていました。こういう極めて個人的な好みって、言われても意外と返事に困るもんです。「まあ、そうですね…」ってな感じで。つまりは田舎育ちで、そこは私と一緒。

で、その女性、毎晩アルバイトを終えてからは自宅のアパートで原稿を書き綴っているとの事。ある時、何とはなしに話をしていると、彼女の部屋の隅にある書棚の横にいつも座っている子供の話になりました。私は近所の子か、まさか今でいうシングルマザーかと思いましたが、その子の名前を仮に太郎君とします。太郎君はいつもその部屋の隅にある書棚の脇に、向こうを向いて座っているそうです。ジッと座っているだけだそうです。

彼女曰く「いつも背中を向けて座っているから、顔を見た事ないの」。私「????」。「顔を見た事ないって、誰なの、その子…」。彼女答えて曰く。「知らない。だって、幽霊だから」。そう、サラッと言われてしまいました。一瞬、ああそうか、なんて思いましたが、「え…」、です。

幽霊がいつも部屋の中に。別に「よく平気だね」とか「怖くないの」とか、聞く気はありません。怖けりゃ、とっくにアパートを引っ越しているでしょうから。彼女にとっては、「怖さ」の許容範囲内なのでしょう。個人差というものは何につけてもありますから。で、声をかけても(声をかけるかよ)、何も答えず、いつも書棚の横で背中だけを見せているそうです。年のころは幼稚園くらいの小さな子供だそうです。

でも、書棚の本を取る時に顔くらい見えるだろう、って、何の話をしているのかと思いつつ、真面目に聞いてしまいましたが、どうも、何時もいる訳ではなく、いない時もあるそうです。はあ…。

ある日、彼女が寝ている時、ふと目が覚めると太郎君が隣に座って、彼女の顔を覗き込んでいたそうです。その顔は悲しそうな、何かを訴えたそうな、でもなんて言ったらいいのか分からない、といった表情だったそうです。それを聞いた時、ふーん、やっと顔見れたんだ、なんてトンマな返事をしましたが、時間差でザワッとしました。私としては彼女の言う事を信じているとか信じていないとかではなく、飄々と話しているのを、ホント、世間話のように聞いて、答えているだけです。しかし、寝ていて目を覚ましたら隣りに座って顔を覗き込んでいたというのは、怖い…。

彼女曰く、その瞬間、いわゆる金縛り状態にあって、太郎君の表情は見えるのだけど、体も動かないし、声も出せない状態だったそうで。ちょっと、そんな状態にはなりたくありません。想像してください、寝ていて目を覚ましたら、そこに幽霊(?)の顔があったなんて。幽霊でなくとも(例えば嫁さんとか…、これはこれでもっと怖いか…)、マッツァオになります。これは怖い。出方を考えてくれと言いたくなります。

彼女曰く、当然、怖かったそうですが、その太郎君としばらく見つめ合っていたそうです。太郎君の顔はもどかしげに何か言いたそうなのですが、何も言えない。そして、太郎君が薄れていくように消えていくと同時に金縛り状態が解けたそうです。

本当に何かを伝えたかったのでしょうか? それは何なのでしょうか? 分かりません。幽霊と言われる存在は、やはり、別の編にも書きましたが、何かを伝えたくて人の前に姿を現すのでしょうか。その後、太郎君は相変わらず書棚の脇に時々黙って座っているようでした。

彼女は小説家デビューが決まったそうで、執筆に専念したいと、アルバイトを辞めました。確か、中堅の出版社だったと思いますが、出版社名もデビュー作名もペンネームも忘れました。その彼女が一番好きだと言っていた作品はダニエル・キイスの「アルジャーノンに花束を」でしたから、SF系でしょうか。

その後、お付き合いはありませんでしたが、あの太郎君は今でも一緒にいるのでしょうか。結婚していたら(年齢的にはとっくにしているでしょうね。子供もいるかも)、亭主はどう思うのでしょうか。

彼女の「連れ子」が太郎君、なんてオッサンギャグですが、ふと疑問に思いました。霊というのは「場に縛られるのか、人に憑くのか」。昔、仕事で「自爆霊」なんて失礼なギャグを言いましたが、地縛霊か憑依霊か、両方あるのか…。太郎君はどちらだったのか。

彼女と太郎君は今、どうしてるのでしょうか。

「怖い」を考える編 目次へ



【商品検索】Powered by Amazon

↑「すべて表示」をクリックするとAmazon.co.jpの検索結果一覧に移動します。

■これからギターを始められる方のご参考にでもなれば。
木の音 バナー
「雑学を楽しむ」サイト
テキトー雑学堂 バナー
「花を楽しむ」サイト
花を飾る バナー


■サイトポリシー ■プロフィール
■お問い合わせ
ページトップへ戻る

Design by Megapx / Template by s-hoshino.com
Copyright(C) Ureagnak All Rights Reserved.