「不思議」「怖い」「変」を普通に考える。タイトルバナー

怖い その63「深い森の奥には… 異界へのチャネル」


考える 今住んでいるのは首都圏とは言っても、隅の方。まあ、ズバリ田舎と言ってもいいでしょう。で、以前は真ん中寄りの方に住んでいましたが、今の方が格段に自然には恵まれています。そりゃ、田舎ですから。とはいえ、首都圏周辺のベッドタウンですから、どこもそうでしょうけど、残っているとはいえ、その自然をブルトーザーで切り拓いて造った街です。昔は一面の原生林だったのでしょうが、今はところどころにその痕跡を残しているだけです。それでも今住んでいる所にはそうしたかつての痕跡がけっこう残ってはいますが。で、天気のいい日に買い物のついでに少し遠くまで足を延ばしてみると、思わず足を止めて見入ってしまうような雑木林、というより伐り残された原生林を目にすることがあります。

自治体が管理しているのでしょうけど、周りが網のフェンスで囲まれて、多分「立ち入り」は禁止でしょう。しかし、その原生林の濃厚さは、雲一つない晴れた日でもその中は薄暗く、奥の奥までは目を凝らしてもその視線は届きません。それが、かつてはニュータウンという事で多くが潰され、今はロートルタウンとなってしまった街の一角に残っているのです。どう見ても十分に手入れされているような気配はなく、周りの柵にはツタが絡まり放題です。もっとも、自然な訳ですから、そのままでいいのでしょう。周辺の人が利用するために「間伐」をして管理するような森ではないということです。

そのような森が付近にはいくつか残っています。もともとはその辺り一帯がそのような風景だったのでしょうが、周りには公団住宅が並び、典型的なベッドタウンの景色が広がっています。まるで、全く違う世界が、次元のズレでも起こして並んでいるように同居しています。後ろを振り向けば、首都圏のベッドタウンの風景。前を見やれば、人を寄せ付けない結界の様な深い森の風景。散歩の途中で足を止めてその奥を見やっても、闇のグラデーションがずっと続いていくだけです。その奥の奥には、もう緑といった色も見えず、モノトーンの空間があるだけです。

何となく、足を踏み入れてみたいような衝動を覚えますが、多分、それはとても勇気のいることでしょう。圧倒的な樹木の中に分け入っていくなんて、あまりにも酔狂が過ぎるというものです。好天の日でも薄暗い森の中を、目を凝らしてみると道らしきものが少し奥の方に見えます。人の作った道…? いえ、獣道というべきでしょう。じゃあ、獣がいるのか。道らしきものができるほど、この広大な森に人が入って行っているとは思えません。獣というと、イノシシ、ウサギ、シカ、タヌキか…? クマまではいないでしょうが(多分)、あとはイヌやネコが野生化して棲みついているかも。森を作っている木々は、ブナ、ナラ、トチか…。

いずれにしても、そこは「人」の世界ではないでしょう。ふと、何かで聞いたか読んだかした話を思い出しました。「鎮守の森」とよばれる場所がありますが、日本には「常世(とこよ)、あの世」といった「神や死者」の世界が大自然の遥か彼方にあって、森はその大自然の境界であり、人の住む世界と「人知を超えた世界」とを隔て、人はそれを畏れ敬ったといい、「鎮守の森」とは、その大自然の森の一部である場所に「神」を祭った空間、であるとか。で、森を切り拓いて田畑を作って生きた人間も、それを全て平らげるのではなく、神の居場所を「鎮守の森」として、大自然の一部を残しておいた、とか…。

ということは、ここは鎮守の森であって、その遥か奥には「人知を超えた世界」の住人が存在しているのでしょうか。日常の中に大きくポッカリと存在しているその森を眺めながら、そんなことを考えていました。そうすると、次第に、その場を立ち去りたくなってきます。要するに、だんだんと怖くなってきたのです。畏怖というべきでしょうか。目を凝らしても見えないその遥か奥に、「人知を超えた世界」、つまりは異界へのチャネルが開いているとすれば…。話としては興味深いのですが、ではこの森に足を踏み入れられるかと言えば、それは無理です。怖い…。もしかしたら、ですけど、このような大きな森がそのまま、ニュータウンと呼ばれる街にポコッとありこちに存在するのは、やはり、今でもその「異界」との境界として、鎮守の森の役割を果たしてくれているのでしょうか。少々、SFじみた考え方ですけど。

しかし、その奥には何やら蠢いているような気配が感じられるのです。その感覚が、「怖い」という事につながります。街の中にある森。その大きさは、グーグル・アースで見れば分かるのでしょうが、それで見えるのはほんの一部の様な気がします。ここに足を踏み入れたら、帰ってこれないような気がします。今の私たちは、こうした森との「共存」の方法を知ってはいないのです。ただの使い道のない、開発から漏れた土地、くらいの認識でしょう。しかし、この森を無くしてしまったら、この街は廃れてしまうのでは…。開発を進めすぎて廃れてしまったニュータウンがどれくらいあるのか…。

季節は初夏で、汗ばむような気温ですが、この森の付近には冷たい空気が漂っているのか、汗などかきません。やはり、怖いですね。興味だけで、とても中には入れません。もし、「ただの森じゃないか」なんていう方がいらっしゃったら、どうぞ中に入ってみてください。おそらく、その間口で怖くなって、入ることなどできないと思いますよ。墓場でやる肝試しとは次元が違います。

「怖い」とはただキャーキャー騒ぐだけのものではなく、「畏怖」、「畏れ敬う」気持ちに通じるものなのでしょう。

「怖い」を考える編 目次へ



【商品検索】Powered by Amazon

↑「すべて表示」をクリックするとAmazon.co.jpの検索結果一覧に移動します。

■これからギターを始められる方のご参考にでもなれば。
木の音 バナー
「雑学を楽しむ」サイト
テキトー雑学堂 バナー
「花を楽しむ」サイト
花を飾る バナー


■サイトポリシー ■プロフィール
■お問い合わせ
ページトップへ戻る

Design by Megapx / Template by s-hoshino.com
Copyright(C) Ureagnak All Rights Reserved.