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怖い その50「屋根裏には何がある… 何がいる…」


天上今の時代、家の中に「暗い」所というものが本当に減ってきたと思います。私はド田舎で育ったのもありますけど、周りに街灯なんてほとんどないし、家の中にはお茶の間があって、他の部屋の電気は消していますから、夜になれば家の中というのはあちこちに暗い場所がありました。というより、全体に暗いと云った方がいいのでしょうか。省エネという感覚はありませんでしたが、無用な電気は消しておきますし、何と言っても、月明かりが家の中に差しこめばそれで何とかボンヤリと部屋の中のものが見えましたし、多分、食生活の違いかどうか分かりませんが、みな、夜目が効いたように思います。電気をつけない暗い所でもボンヤリと見えるのです。

トイレなんてさすがに電気は付けますが、W数の低い電球ですから当然薄暗い。お風呂なんかもそうでしたね。夜は家の中も外も薄暗い場所があちこちにあって、今のように「明るい」家ではありませんでした。別に不自由は無かったですけど、何と言うか、夜というのはワンダーな空間であったと思います。星や月などは今の生活と比べると桁違いに煌々としていましたし。

中でも絶対的に暗い場所というのは、押入れと屋根裏。今の家は殆どがプレハブ工法で、工場で家が作られますから、プラモデルのように現場で組み立てるだけでしょう。押入れなんかにも扉を開けると電気が付くような造りになっていたりして、絶対的な暗闇の聖域はいまや「屋根裏」だけでしょうね。どこかに修理工事用に開けられる場所がある筈ですが、日常生活でそんな所を意識することはないでしょう。

昔の天井は、梁と梁に通した細い角材の上に板が載せてある(一応釘は打ってあるでしょう)だけの造りでしたから、その気になればいつでも天井裏を覗けましたが。もし、本当に天井裏を覗こうと思ったら、押入れからです。部屋の中からだと当然高さがあるので届きませんが、押入れは二段になっていて、その上の段からなら天井板に手が届きます。押せばカタンと板が上がる場所があるのです。「開ける必要があるの?」と聞かれれば「それは、ないです」と答えますが、この暗い押入れの中から天井板を開けて、これまた暗い天井裏を覗き込むというのは、何と言うか、まさに家の中での一番のワンダースポットだったのです。そこには、何があるのか…。何がいるのか…。

田舎出身の人(失礼)ならご経験されたでしょうが、夜寝ている時、よくネズミが屋根裏をタッタッタッと走っていました。「ネズミの運動会」なんて呼んでいましたが。で、そのネズミがいるという事は、ヘビがいるという事なんです。餌ですから。屋根裏をズルズルとヘビが這っていく音なんて、まさにワンダーですよ。慣れているとはいえ、あまり気分の良いものではありません。

そんな物音が天井裏から聞こえてくるのは日常茶飯事でしたが、時々、ネズミでもない、ヘビでもない音が聞こえてくることもありました。それは、誰かが梁を這っているような音…。忍者が天井裏に忍び込んで、梁を伝っているシーンをドラマなんかで見ますが、さすがに天井板の上に乗れば、落ちます。聞こえてくるのは、そんな「何か(?)」が微かな木の軋み音を伴って動いているような音です。猫でしょうか? 猫ならそんな軋み音なんてたてません。では、狸かなんかでしょうか? あり得なくはないですが、天井裏に入れるほどの運動能力も必然性も狸にはないでしょう。では、何…。

江戸川乱歩の作品に「屋根裏の散歩者」がありますが、中学生の頃だったか、読んでいて、その淫靡さと妙なリアリティに魅かれた記憶があります。それで、屋根裏に上がって…、なんてアホなことはしませんでしたが、あの、時々屋根裏から聞こえてくる、人が梁を這っているような音が聞こえてくるのが余計に怖くなってきました。あれが、人間がいる音だったら、泥棒…。いえ、あり得ません。泥棒が同情してものを置いて行ってくれるような何も無い家でしたから。じゃあ、何なんだよ…。

ある日、意を決して(好奇心)、天井裏を覗いてみようと思いました。当然、夜は怖いので昼間に挑戦しました。懐中電灯を持って、押入れに入り天井板を持ち上げます。その段階でドキドキものです。で、勇を振るって恐々と天井裏を覗き込み、懐中電灯で暗闇を照らしてみました。何もありません。いません…。埃まみれの梁と、屋根裏の板が見えるだけです…。しかし、その暗闇は怖かった。

あの、天井裏の妙な音は何だったのでしょう。音というのは不思議で、それがどこから聞こえてくるのか分からない場合があります。車に乗っている人なら経験されたことがあると思いますが、車内の異音というのはプロでも「それがどこから聞こえるのか」、なかなか特定できないそうです。車の修理にしても「異音」と云いうのは「免責事項」だそうです。しかし、あの音は間違いなく天井裏から聞こえてきた…。

今のきれいな工業製品となったお家では天井裏を覗こうなどと思う人がいるかどうか分かりませんが、そこは間違いなく今でも家の中に残された最後の「暗闇」です。何かがいるかも…。

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