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怖い その5「生霊というものの怖さ… 聞いた話ですが…」


古都の夕暮れ生霊(いきりょう)の話です。生霊って何だ? って話になると簡単に言えば生きている人間の霊です。これでは突っ込まれますね。つまり、死んだ人の霊は死霊(しりょう)と呼びますが、生きている人間の魂魄が体から抜け出し、霊と化したものが生霊です。

では何のために、生霊になるのか? 殆どの場合、生きている者が持っている「恨み、怨念」によるものでしょう。 この生霊なるものが活躍(?)したのは主に平安時代だったと思いますが、死霊と生霊に人は怯える毎日を過ごしていたようです。あの有名な陰陽師、安倍晴明がそうした「呪」なるものと渡り合い、その名を馳せた訳ですが、当時の「呪術」は言ってみれば最先端の科学・学問であり、安倍晴明はその呪術の中でも最先端を行く陰陽道に卓越した知識を持つスーパースターだったようです。何か良くない事があれば朝廷や、公家屋敷に呼び出されたのでしょう。まあ、宮廷の中の事ですから、権謀術数は当たり前。生きた人が生きた人を呪う世界であったのでしょう。それはいつの時代でも同じような事なのだと思いますが…。

本編のテーマは陰陽道そのものではないので、それは置いといて、さて「生霊」なるものですが、これも「不思議を考える編」で書いた幽霊と同じで「いるのか、いないのか」は同じ理屈で「いるかもしれない」とします。

それで、これは私が経験した事ではなく、親戚の者から聞いた話ですが、私が子供の頃を過ごしたのはド田舎です。親戚も皆、ド田舎に住んでいます。その親戚が昔の話として聞かせてくれたのですが、その当時の田舎の大人は、何か不思議なことがあると「科学的ではない!」というような人はほとんどいなくて、幽霊も妖怪も同居しているみたいな感じで生きていました。今思うと、子供心にはそう映りました。

で、ある田舎の金持ちのオヤジが、お決まりの如くお妾さんを作って、それが一人ならまだしも、アチコチで作ったそうです。元気というか、マメというか…。ちなみにこれは戦前の話で、金持ちのオヤジがお妾さんを持つ事など当たり前であった時代です。

毎晩、アチコチの別邸に通っては遊んでいたそうですが、そのうち、そのご寵愛が一人のお気に入りの女性に向けられます。私、たまたまその女性の当時の写真を見た事があるのですが、美人です。それで、他の女性の方たちはその女性を恨む訳ですが、こればかりは旦那様の思う通りですから仕方がない。もともとが、今の感覚で行けば不道徳極まりない事なのですが、そこを倫理観では突けません。

余談ですが、お妾さんというのが、(今の)差別用語なのかどうか分かりませんが、当時の彼女たちにとって旦那さんの寵愛を受けると言う事は「生きる術」であり「経済的」にも重要であった訳で、通ってもらえなくなれば(捨てられると)生活も窮乏してしまいます(だそうです。聞いた話ですから)。で、ある女性は子供まで作って捨てられ、生活に困窮し始め、その恨みは寵愛を独り占めしている女性に向かう訳です。

そして、その美人をA子さんとします。A子さんがある日突然体調を崩し、寝込んでしまいます。高い熱にうなされて意識朦朧状態が続いたそうです。旦那さんは財力に物を言わせて、アチコチのお医者さんを呼びますが、まったく原因が分からず。どのお医者さんも匙を投げたそうです。

そこは田舎の事です。医術という近代科学がダメなら、呪術という古典科学(?)です。今度は旦那さん、アチコチの名高い高僧を集めて(密教系でしょうかねえ…)、加持祈祷三昧。よっぽどそのA子さんに惚れていたのでしょうか。昼と夜となく続けたそうです。

するとある時、そのA子さんが苦しそうにもがき、旦那さんや坊さんたちの目の前で、恐ろしい形相となり、叫んだそうです。「わしは〇〇じゃぁ!」。周りの者も驚いたそうですが、その〇〇というのは先ほどの、子供まで作って旦那さんに捨てられ、生活に困窮した女性の名前だったそうです。坊さんはA子さんを苦しめていた原因を特定し、つまりは〇〇さんの生霊がA子さんに憑りついていたのだとしてその除霊の祈祷に切り替えた途端、A子さんはケロッというくらい、恢復に向かったそうです。

旦那さん、生霊の呪詛ですから、当時の法律でもこれは刑事事件の対象にはならず(呪い殺すという、呪詛そのものの効果が法律で科学性を認められていませんから。今でもそうです。ただし、呪いをかけるとかで脅せば、確か恐喝は成立すると思います)、結局、〇〇さんとはお金でかたをつけたそうです。手切れ金をはずんだのでしょうか。その後、A子さんは生死の淵から元の健康な状態に戻ったとの事です。

これは親戚の間ではけっこう有名な話で、何度も聞かされました。実はそのA子さんなる女性(もうおばあさんでしたけど)、会った事もありますし話をしたこともあります。さすがにその事を「本当?」とは聞けませんでしたが。

あるお坊さんに聞いたことがあります。死霊の恨みより遥かに生霊の恨み、祟りの方が恐ろしい、とか…。幽霊だけでも厄介な問題なのに、生霊ですか…。この話が本当か嘘かなんて証明不可能です。例えば、もしかしたらA子さんが〇〇さんに同情し、〇〇さんにそれ相応の扱いを旦那さんがするように演技していたのだとしたら…。そう勘ぐる事もできます。しかし、医者や坊主まで巻き込んでそれだけの騒動を起こすのは並大抵の演技力ではありません。

この際、生霊なるものが「いるかも」しれない、ということで極力、人の恨みをかわないように生きていく事が大事でしょう。

ちなみに、これもお坊さんから聞いたのですが、生霊になるのはほぼ「女性」だそうです。皆様、覚えのある方々はご用心。

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