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怖い その37「日常の異化か… かつての少女恐怖漫画ブーム」


考える私が子供の頃は様々な「少女漫画」の雑誌があり、姉貴が買ってくるそんな漫画本を読んでいました。「男のくせに女の子のマンガを…!」とさんざん言われましたが、ガキの頃からの本好きは少女誌だろうが少年誌だろうが、興味の対象となるのです。

「少女コミック」「なかよし」「少女フレンド」「少女マーガレット」「りぼん」等々。少女フレンドは廃刊の憂き目にあったようですが、他のものは隔週や月刊誌で細々と生き残っているようです。

そんな現状とはまるで違って、遥か昔の少女雑誌は猛烈なパンチ力を持っていたのです。何故か、少女漫画には「恐怖もの」が溢れ(ブーム)、その中で恐怖漫画の帝王、楳図かずおが君臨し、それに続くように様々な作家が恐怖漫画を引っ提げて現れました。少女漫画より以前に、昔は「貸本屋(ご存知?)」というのもありまして、よく母親との銭湯帰りに本を借りて帰りましたが、ココにもゴッソリと恐怖漫画がありました。少女漫画という事ではないのですが、日野日出志という作家もいました。今読んでも怖い…。楳図かずおが帝王なら彼は神様…。

それは置いといて、楳図かずおの「赤んぼう少女」や「へび少女」「まだらの少女」などは、ページを開いただけで暴力的な恐怖が子供の顔面を叩き付けます。他にも色々と読みましたが、もし楳図かずおの「まことちゃん」しか知らない人がいたら、想像できない世界だと思います。「赤んぼう少女」のタマミなどは、もう文芸の域を超えて(もともと文芸と漫画は同等と思っていますが)、心理学の教材にでもなりそうな存在です。まだ、単行本で売っている(ン十年前の本です)ようですので、興味のある方はぜひ…。

美内すずえのような大御所も書いていましたが、殆どは一発もので消えていった作家が多いように記憶しています。しかし、その画力やストーリーテリングの力は子供心にも突き刺さり、未だに生々しい記憶として残っています。

しかし、素朴な疑問…。読むと、夜トイレに行けなくなるような漫画をなぜ、心待ちにしてキャーキャー言いながら読んでいたのか。

簡単な説明としては「バンジージャンプ」や「ジェットコースター」などの絶叫系と同じく、人が興奮状態となってアドレナリンが噴出し、血圧や脈拍が高くなる状態を楽しんでいるのと同じでは、です。しかし、それだけでは説明できないものがあるのです。それは、漫画ですから、落ちたり跳んだりするような、物理的なものはそこにありません。
では何故…? 私は「それは日常の異化(補足説明※32)ではないか」と考えます。たとえば「赤んぼう少女」を例に取れば、「赤んぼう=可愛い」という「自動的」な認識を様々に読み取れる存在としていくことにより、「日常的」な景色がもはや、それまでのものとは変わってしまう可能性があります。いえ、変わります。「日常の異化=破壊」が「恐怖」「怖い」の根底に存在するのではないでしょうか。

「ヘビ少女」も同じです。「ヘビ=忌まわしい」と「少女=可憐」といった認識を、二つを一緒にする事で、これまた、あくまでもフィクションでありながら、周りの現実世界を変えてしまうパワーを持つのではないでしょうか。それぞれの単位では「自動的」に認識してしまうものが一つになった時、人の感覚に「異化」が生じ、漫画という世界でありながら、「恐怖」、「怖い」という「手触り感」を持つ感覚の世界に現実を変えてしまいます。

つまり、漫画を読んでいる時だけではなく、あらゆるものの中に「恐怖」であるとか「不思議」であるとか「もし、といった想像」を含ませてしまうという事です。さあ、こうなると世の中が「面白く」見え始めるのか、「忌むべきもの」に見え始めるのか…。私の場合は前者でした。楳図かずおの圧倒的な画力と、それが描き出す恐怖とで脳みそを叩かれまくれ、やたらと変なものに興味を示す「よい子」に育ちました。

「恐怖漫画」というものが、まさに「漫画」という表現手段を使って出現し、それに多くの読者が惹きつけられたのは、単に「面白い」というだけではないでしょう。現実が「異化」されていくのを楽しんでいたのです。と、考えます。

ちなみに、なんでそれらの発表場所が「少女漫画」だったのか、という素朴な疑問も湧き上がりますが、これは当時、商業的に少年誌より少女誌の方が成功しており、漫画家の多くはそこに活躍の場を得たという事でしょう。事実、あのトキワ荘の巨匠たち、手塚治虫、赤塚不二夫、石ノ森章太郎、藤子不二雄なども少女漫画を多く手掛けています。

まあ、最後にチャチャを入れるような事を書きますが、女の子の方が「怖がり」ということはないと思います。本質が「現実的」であるがゆえに、恐怖漫画の「異化」の世界を受け止められたのでしょう。実際に、好きな人が多い。単純な「怖がり」が多いのは男の子の方です。

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