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怖い その17「夜の河川敷で突然の水音… 巨鯉、それとも…」


水 波紋 イメージ20代後半の事です。その頃、私の趣味は車、と言ってもスポーツカーとかではなく四輪駆動車です。それほどお金に余裕がありませんから、中古の安い4DW車を買ってきて、自分で整備して乗っていました。休みのたびにいじりまわしていたので両手には油の黒いシミがいつも付いていました。オイリーボーイ(油まみれの自動車好き)を気取っていましたが、4WD車ですから、普通の道を走っていても、ただの直進性の悪い遅い車です。やはり、当時はまだ残っていた林道を走るのが楽しいのですが、遠いのでなかなか行く機会がありません。

そこで考えたのが河川敷。当時はまだ車の乗り入れ規制が甘く、特別な入口がありました。いったんそこから降りると一面のオフロード天国です。道は凸凹、草は生い茂り、夜になれば誰もいません。時々、同じことを考えている連中がやっぱりいて、車ではないですが、オフロードバイクがうろちょろしていました。まあ、同好の士といえばそうですけど。

バイクを避けて、流れ込みのある(ここで河川敷は切れます)方向へ奥まで入ります。そこに絶好の場所があったのです。仕事から帰ってくると、その河川敷まで行き、一人ナンチャッテ・オフローダーを楽しんでいました。今考えるとけっこう危ない事をしていたと思いますが、その当時は楽しくて仕方がありませんでした。

で、仕事の後輩でダートに凝っている者がいて、ボンボンですから、けっこういい車を持っています。金もかけてけっこういじってあります。その後輩に夜の河川敷の話をすると、自分も走りに自信はあるので一緒に連れて行ってくれと言います。私、腹の中で、いくら高性能な車でも河川敷の凸凹道では私の4WD車の方が絶対に有利。喜んで連れて行きました。

真夜中の河川敷で俄かレースの始まりです。ルールは、道(?)が狭いので、私が先にスタートし、後輩の車が後ろからスタートして、貼り付かれたままなら私の負け。ブチ切れば、私の勝ち。結果は私の全勝。理由は簡単、ダート用に改造してあるとは言え、車高は4DW車の比較にはなりません。奴は底を擦って車を傷めたくないのでアクセルをあまり踏み込めないのです。
もう勝負にならないので川近くに腰を下ろしてダベッていました。そこは、流派は違っても車好き。話は尽きず、夜もかなり遅くなって来たので帰る事にしましたが、腰を上げかけた途端、左の方でドッバーン!とでも表現すればいいのか、月明かりの中に水面が盛り上がるような大きな波紋が見え、何かが飛び込んだような大きな水音が聞こえました。しばらく、水面がうねっています。
突然の事で二人ともビックリ。しばらく水面の大きなうねりを眺めていましたが、後輩が突然車の方に走り、車を川岸まで急いで寄せてきてその水音がした方にヘッドライトを当てます。まだ、水面は同心円の波紋ではなく不規則なうねりが広がっていました。

何でしょうか…。一瞬、人でも飛び込んだのかと思いましたが、何も浮いてきません。身投げ…?まさか、こんなところで。私が一番合理的に納得できるのは巨鯉のウネリです。鯉は雑食性なので泥に頭を突っ込んで掘り返し、その時に尾を振ってうねります。海の黒鯛も同じような捕食行為をします。しかし、それであんな音はしないし、巨鯉のウネリなら、その尾が水面に出ている筈です。しかし、真夜中、深夜と言ってもいい時間に鯉が捕食をするのか?

そんな事を考えていると、後輩が車から降りてきて、真顔で言いました。「〇〇さん…、今の、人の形を、していましたよね…」。私、いきなりそう聞かれて、即座に返す言葉も無し。その後輩は、物の怪の類や不可思議なものは全く信じない男です。私「おまえ、人の形って…。多分、大きな鯉だろう。でなきゃ河童か…」。後輩はまだうねっている水面を見ています。何も浮かんでは来ません。それ以上動くものも見えません。鯉だったらヘッドライトに照らされた水面に見えそうなものですけど。そこは川岸近くですが、簡単な護岸が施されていて、水深はそこそこありそうな場所です。

後輩がまた言います。「人の形が見えましたよ…」。私、「飛び込みか…」。けっこうマジで不安になってきました。しかし、こんな川岸からあんな派手な音をたてて身投げするというのも不自然です。とはいえ、あれだけ派手な波紋と水音をたてるものとは…。もし身投げだったらと考え、二人で真面目に警察への連絡をしようかと相談しましたが、この不自然な状況をどう説明していいのかと言う事で、それは見送りました。

結局、その後は何も起こらなかったので、二人ともゾッとした気分に襲われたまま、それぞれ帰路につきました。

私、運転しながら、後輩の言った「人の形」という一言が気にかかり、ある事を思い出しました。出身地の瀬戸内海の岩場で釣りをしていた人の言葉ですが、海の中を見て魚影を探していた時、大きな魚影を見つけたと思ってよく見ると、なんと「人の形」…。怖くなってそのまま帰ってきたとか。その時は何も考えずに聞いていましたが、我々がいたのは汽水域です。つまり、海からそう遠くない場所。新聞に水死体の記事もなく、それはそれでよかったのですが…。

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