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怖い その14「焼却炉から赤ん坊の骨… そして、泣き声…②」


古い換気扇いったん怖くなるとイヤなものです。赤ん坊の泣き声が聞こえた日から、しばらくは何事も無く日が過ぎましたが、あの時の怖さはベットリと貼り付いています。夜警のバイトも何とか一ヶ月を過ぎました。あの赤ん坊の泣き声が聞こえたのは一回だけです。怖いのは怖いのですが、もうあと一ヶ月の事と割り切って何とかバイトを続けていました。

そして、バイト二ヶ月目に入って、いつもの巡回を終え、眠ろうとした時、またです、赤ん坊の泣き声が隣の部屋から聞こえてきました。またかよ…、勘弁してくれよ…。怖いどころじゃありません。間違いなく隣りの部屋(元倉庫)から聞こえてきます。私、別の編でも書きましたが、「怖い」がある程度まで来ると、怖い思いをさせている不合理なるものに対して次第に腹が立ち始めます。あまりに怖くて、殆ど、逆上状態です。もう我慢ならず、巡回用のライトを持って、隣りの部屋に突っ込みました。煤けた真っ暗な部屋の中で、やはり赤ん坊の泣き声がしています(下品な表現ですが、小便チビリそうな気分でした)。部屋の中をライトで照らします。足は震えていますが、感情的には逆上状態。赤ん坊の泣き声がする方向を探ってライトを向けると…、「これか…」、その正体が分かりました。あの壁の換気扇が外からの風で微妙に回転が変わり、倉庫の中に響いて赤ん坊の泣き声のように聞こえていたのです。気が抜けると同時に、この仕事を押し付けた先輩に腹が立ち始めました。

アパートで先輩を捕まえ、問い詰めました。悪びれもせずアッサリとゲロしました。やはり、あの赤ん坊の泣き声を聞いて、怖くなったそうです。で、私に押し付けたと…。呆れて腹も立ちませんでしたが、話を更に聞いて驚きました。あのビルの一階が火事になった時、火元がどうも倉庫の裏手にある焼却炉だったらしく、消防が調べた時、その灰の中に赤ん坊のものと見られる人骨が見つかったそうです。で、それ以後、付近で赤ん坊の泣き声が聞こえる…。仮住まいで入った会社はすぐに出て行くそうです。今の会社も…。前の会社も…。

次の日にあの煤けた倉庫の裏手を見ると、確かに焼却炉がありました。もう誰も使っていないのでしょう。これも煤けて真っ黒です。その付近一帯も。裏手にあるのでビルに入る時には見えませんでした。人目に付きにくい所にあります。結局、事件性はあったにしても未解決のまま(らしい)。

何がどうしてそうなったのやら…。想像することが許されるのなら、未成年の母親が密かに生んだ赤ん坊が死んで、その処理に困ってあの焼却炉で燃やし、その炎が火の粉となり、このビルの一階部分を焼いた、と…。

しかし、生まれたばかりの赤ん坊を焼いたとして、その骨は残るものだろうか…。それとも、ある程度大きくなった赤ん坊だったのだろうか…。だとしたら…。想像ではあっても気が重く萎えてきます。

しかし、赤ん坊の泣き声の原因さえ分かってしまえば、不思議なもので、それまで赤ん坊の泣き声に聞こえていたものが、換気扇から入ってくる風の強弱で共鳴する音であると聞こえてきます。しかし、赤ん坊の泣き声と言えば、そうも聞こえますが…。

無事(?)、二ヶ月間のお勤めを終えて、夜警のバイトは終わりました。最後に、あのビルの会社の人にそれとなく訪ねてみましたが、事実関係はやはりそうらしいのですが、あまり関わりたくない様子で、会社はもう引っ越し準備。そのビルも、近いうちに解体されるそうです。

あの赤ん坊の泣き声は、換気扇から入ってくる風の音である事が合理的な説明ですし、事実、風の強弱と赤ん坊の泣き声のように聞こえるのがシンクロしているのは、自分自身で確認しました。その原因を突き止めたと自己満足している訳ではありません。このことは誰にも言っていませんから。実際には、噂として赤ん坊の泣き声がすると、周辺に知られていたそうです。もうン十年前も事です。今その辺りに行っても、あのビルがどこにあったのか、もう分からないと思います。

そのような事件があって、事実、多くの人が赤ん坊の泣き声が聞こえると気味悪がっていました。しかし、もうそれを覚えている人はいないかもしれません。もしかしたら、あれは本当に赤ん坊の泣き声っだったのかも…、という思いもあります。だとしたら、自らを焼いたとはいえ、母親を恋しがる子供の声だったのでしょうか。

本件に関しては忘れてしまうのが一番のように思えます。

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