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怖い その1「何故、墓場を怖いと感じるのでしょうか」


夜 墓場夜、墓場を歩くというのは「肝試し」のお決まりのようなものですが、よくよく考えてみると何故、墓地、墓が怖いのでしょうか? そこにあるのは石と、焼いた後の骨と灰です。もし骨が怖いというのなら、妙な話で、みんな体の中に持っているではないですか。「私の体の中、骨があるの!怖い!」なんて言っている人、見た事も聞いた事もない。お墓にしても、石を削っただけのものです。いわゆるオブジェです。これも「私、石が怖くてしょうがないの!」って人、同じく見た事も聞いた事もない。

理屈で考えれば、何で怖いのか?と言いたくなりますが、じゃあ、怖くないのかと言われればやっぱり怖いですよね。先のような考え方はまさに唯物論的な考え方ですが、これに対して唯心論(補足説明※3)がありますけど、こちらで考えれば「人の心がそこに目には見えない何かを感じて、その反応として怖いという感情が湧きあがってくるのである」というように説明をすればいいのでしょうが、私は唯物論にも唯心論にも組しません。そうした二元的な立場に立ってものを考えないのがこのサイトのコンセプトです。

ではそのどちらでもない、一元論的思考実験を標榜するのなら、墓場に対してどう答えるのか? これは私の個人的な性格と言われればそれまでなのですが、子供のころから人に比べれば墓場を怖いとはあまり思いませんでした。学生の頃ですが都内でも有名な雑司ヶ谷霊園に皆で肝試しに行った時の事です。ここは広くて、夜中は真っ暗。霊園の入口には同じような輩がたむろしており、けっこう酔っていました。一人は鉢巻に首から紐でくくった酒の瓶をぶら下げ、気勢を上げていました。我々も何人か行ったのですが、皆、入り口で足が止まります。霊園の奥は墨を溶かしたように真っ暗。

いつまで経っても中に入ろうとするものがいないので、私も怖い事は怖いのですが、一人で行ってみようと、中に入りました。もちろん懐中電灯は持っています。私が行くのならと友人が自分も行くと言ったのですが、入口から十数m歩いて後ろを振り返ると誰も付いて来ていません。懐中電灯の明かりを頼りにどこをどう歩いたか分かりませんでしたが、奥に入って行くにつれ、どんどん暗くなってきます。月明かりもありません。

どれくらい暗いのか、試しに一度懐中電灯を切ってみました。真っ暗なんてものじゃありません。あれほどの暗闇を経験した事は記憶にありません。墨の中に沈んだような感じ。どれほど目を凝らそうと、何も見えず、上下さえも怪しくなるような暗さです。さすがに少々怖くなり懐中電灯を点けました。ホッとするような明るさですが、その先に映っているのは連なった墓石です。

で、どうした事か、もともと方向音痴ですが、入り口の方向が分からなくなってしまいました。チョット参りました。自分が霊園のどのあたりにいるのか分かりません。で、懐中電灯の中にふと浮かび上がった墓石に目が行きました。それは偶然ですが、夏目漱石のお墓でした。夏目金之助、と墓石に刻まれています。漱石のお墓は雑司ヶ谷霊園にあります。そこはかとなく感慨深いものを感じました。偶然とはいえ、夏目漱石のお墓に辿り着いてしまいました。

あの大文豪のお墓の前にいる。夜の霊園で怖さを全く感じなかったと言えば嘘になります。が、漱石にしてもそうですけど、皆、何がしかの人生を終えて、こうしてお墓に納まっています。どのお墓もそうです。

極論ですが、自分もいずれそうなる訳でして。その時の自分の気落ちを文字にしようとすれば、「怖い」のは当然ながら、「悲しい」「虚しい」「可哀そう」「惜別の情」「無常」「生きている嬉しさ」「様々な人たちの、その来し方への思い」「何故か不思議な腹立たしさ」「不愉快さ」を全て混ぜ合わせたような気持ちに襲われました。カッコを付けている訳ではありません。それをとにかく一言で言えと言われれば、やはり「怖い」なのです。思いが千千に乱れるという表現がありますが、自分でも制しがたい様々な思いが一気に湧き上がる状態は、とても平静なものではなく、怖さに近い感情ではないでしょうか。三原色を混ぜると黒になるような…。

ハイ、急に怖くなってきました。とにかく、自然と早足になり、入口へはどう辿り着いたのか覚えていません。結局、霊園の中に入って行ったのは私だけのようでした。他のグループの姿も消えていました。

この話での私の答えは「人の生と死を様々に映し出す(象徴する)お墓を見ると、人は色々な事を考え始めざるを得ず、答えのないものに対する恐れ、不安が湧きあがる」のではなかろうかと。それだと推心論かと突っ込まれそうですが、いいえ、生身の生きている体が主体ですから推心でも唯物でもありません。「怖い」の本質についてはまだまだ考えていきたいと思います。って、今度は先送りかよと突っ込まれたりして。それは…。

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