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変 その29「日本社会の作り上げた矛盾 乙女ハウス」


乙女ハウスちょっと前に新聞の記事で読んだのですが、「乙女ハウス」という映画があるそうです。最初にその「乙女ハウス」というタイトルを目にした時、早合点で人気アニメのタイトルかと思いました。恥ずかしながら、記事を読んでそれが「女性の困窮」を世に問うドキュメンタリー映画であることを知りました。かつて横浜に女性専用のシェアハウス(一件の家を複数の者で共有する住み方)があったそうです。3年余りで無くなったそうですけど、その家の持ち主が介護のために引っ越さざるを得ず、空き家となった家を女性専用のシェアハウスとして低額の家賃(1人月額1万円)で提供したそうです。

女性は残念ながら「社会的弱者」のままです。それのみならず「生物的にも弱者」です。一部に例外はあるでしょうが、男性でさえ「アッ、という間にホームレスとなってしまう」今の社会の中で、女性が一人で生きていくのは男性には想像もできない苦労があると思います。この「乙女ハウス」というネーミングには「今の世の中、乙女チックでは女性は生きていけない」という皮肉が込められているそうです。派遣社員やアルバイトで暮らす20代~50代の女性5名が暮らしていたとの事です。

住所がなければ就職活動もままならないという現実があります。しかし、その住所を得ようとすれば、借りるにしても都市部のアパートなら4~5万円はします。年収が200万前後の人たちにとって、これはかなりの負担となります。しかし、職がないとなればアパートを借りることもままなりません。これって、どうしようもない状態に、簡単になってしまうという事です。「派遣でいきなり仕事を失う→収入が無くなる→アパート代が払えない→住む所を失う→住所が無いので就職ができない→仕事も住むところも失う」。この流れのどこに本人の過失があるのでしょうか。「自己責任」なんて無責任でアホな事を言う方がいたら、この流れを止める方法を考えてみてください。結局は、仕事の不安定さ故に起きてしまう訳で、これは「頑張る」なんて通用する世界ではないでしょう。今や「正社員」とやらでも同じ「流れ」に入る可能性は高い。

私はフリーランスが長いのですが、オヤジになって、家の都合で引っ越さざるを得なくなった時、とりあえず身分として知り合いの会社の「契約社員」という事にしておきます(自らを法人にするという手もありますが…、面倒くさい)。それが無かったら、オヤジの世代に家を貸すところを見つける事はかなり難しい(殆ど無理)と不動産屋から言われましたから。私の場合、稼ぐ力はあるのに、です。バカバカしい事ですが、それがこの日本社会が作り上げてきたシステムです。だからみんな無理してローンをかかえ、家を建てるんでしょうかね。仕事を失えば同じなんですけど…。

私が、特に矛盾だと思うのは、この編の「変その25」に書いた、今の日本には住む者がいない空き家が800万世帯近くもあるという事です。空き家になる経緯は様々でしょうが、それだけの構造物が事実として捨て置かれているという事です。「持家を空き家にせざるを得ない人がいて、片や、住む所がなくて困っている人たちがいる」。これほどの矛盾がなぜ社会の中で生まれるのでしょうか。完全に「ある社会システム」が崩壊している証拠です。

では、その「ある社会システム」とは何でしょうか? 私は、多少単純であることは認めながら、それは戦後の「持ち家促進」と「会社を中心にした生活作り」にあると思っています。それが結果的には、自由で身軽な「生き方」を阻害していると考えます。「そのどこが悪い」と聞かれたら、これまた本サイトの「思いその5」に書いたことを答えます。「個人が生きていくための稼業、地域をドンドン壊して行ったから」と答えます。つまり、「職」と「住」が完全に分離して、地域が無くなり、伝えられて行くべき生きる方法「稼業」を社会が失ってしまった事に、大きな原因があると思います。社会レベルでの安定したワーキング・シェアのシステムが「効率&利益」と引き換えに「暴力的」に壊されたことにより、社会の大部分が「人を生活させる力」を失ったのだと考えています。

われわれは「豊かになった」と思っていた筈なのに「貧しくなって」いたのです。生きるための「社会」というシステムが「人を阻害」しているのは事実です。政治とは「弥縫」の連続であり、社会をどうするかはそこに住む人全員の問題です。とは言え、大きな改造を行うために「政治」が必要な訳で…。この辺りは、「壺に手を突っ込んで中のものを握り、壺から手が抜けなくなった猿」のような状態ですね。「変」というより、笑うしかない…。

いずれにしても、この「乙女ハウス」はそういった社会の「システム崩壊」を示しているとともに、社会の大改造の方向も示していると思います。そのキーワードは「シェア」であると考えています。よくいわれる「能力主義」など、成功例を一つも知りません。「自己責任」で全てを済ませようとすれば、コミュニティなどはもう永遠に生まれません。

堅い話ばかりになりましたが、致し方なし。このテーマは楽しい話になど、できません。ちなみに、この「乙女ハウス」自主上映会のサポーターを募集中だそうです。もし、関心を持たれた方は以下のURLに詳細が記されています。
https://www.petiteadventurefilms.com/

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