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不思議 その8「ボロアパート物語、そして誰もいなくなった…①」


ボロアパートこの話は最初「怖い」編の方に書こうかと思ったのですが、確かに怖かったけど、未だに不思議の方が強く記憶に残っています。ですから、「不思議」編に書きます。タイトルはボロアパート物語ですが、別に小説を書くつもりではありません。私、そして友人たちが経験した事実です。最期には警察まで関わってきたリアルな話です。ちょっと長くなりますので、分けて書きたいと思います。

もうかつての友人たちはそれぞれの道に向かい、ン十年経った今では親交もありません。みな、元気だとは思います。その友人たちと共有した話ですから「物語」とタイトルに加えました。地方から東京に出てきた若い連中(私も含めて)が味わった、どうにも理解できない不思議な体験です。

背景を少しだけ整理しますと、まず、大学に運よく現役で受かる事ができた私が最初に、某瀬戸内海沿岸の地方都市から東京へ出てきました。そしてアルバイトをしながら大学へ通っていたのですが、その私の故郷で浪人暮らしをしていた友人が2人ほど、上京してくると言います。美術系の大学を目指しているので、地方ではどうしても不利になります。やはり、東京という都市のカルチャーは桁が違います。東京で予備校に通いながら美術系の大学を狙うということで、まあ、お互い、金がありませんから、私が以前に住んでいたアパートを紹介しました。

今ではあまり見かけませんが、当時はまだ学生向けの安い木造二階建てアパートが都心にも結構ありました。共同のトイレと共同の炊事場、洗い場。とにかく安いのが一番の魅力です。東京に来て最初に住んだそのアパートの私の部屋は一階の三畳で(三畳間で生活していたのです…)、共同のトイレ。私の部屋はそのトイレの横でした。窓の外に風景などと呼べるものはなく、いきなり塀があります。風通しは悪く、日差しなど期待できません。が、とにかく安いのです。当時で確か一箇月数千円でした。机が置けて、布団が敷ければOK。それに、ゴージャスな事に水道が部屋の中にありました。水道があると言う事は顔も洗えるし、狭いながらも自炊が可能。

しかし、当時の学生がそんな部屋にばかり住んでいた訳ではなく、もう時代は高度経済成長期のピークにあり、学生でも風呂付の部屋でベッド生活というのもたくさんいました。私の目から見れば、今でいうハイソの極みです。

それは置いといて、同郷の2人にそのアパートを紹介し、ちょうど部屋も開いていたので友人二人はそのボロアパートで東京での生活を始めました。その頃私はそこから歩ける距離ですが、少し離れた四畳半のアパートに引っ越していました。共同トイレで共同の洗い場、炊事場は無し、という同じようなボロアパートですが日差しの良い(ただし、西日)四畳半に出世していたのです。

まあ、そんな訳で同郷の友人との東京での生活が始まりました。当然、方言も同じですし、プロ野球も同じチームのファン、共通の話題もたくさんある訳ですから楽しくない訳がありません。3人のうちの一人の部屋が四畳半で室内に炊事場があり、必然的にそこが溜まり場になっていました。一緒に飯を食ったり、ご法度の酒を飲んだり(まあ、昔の事ですから…)、東京に出てきたばかりの二人は都会の空気に触れて、毎日がハイテンション。

で、ある日、溜まり場と化してしまった部屋で3人、酒を飲みながら話している時、その部屋に住んでいる友人がちょっと真顔で言いました。「あっちの入口のドアを、夜中に時々ノックするやつがおるんじゃ。けど、出てみたら誰もおらんのよ、いっつも(方言)」。その部屋はドアが外からの入り口とアパートの通路に出る方と、二つのドア(木製)がある一階の角部屋でした。友人はそう言った後、そのドアの上を指差します。そこには、以前からあったのでしょう、古びて薄汚れた魔よけのお札が貼ってありました。私、「おお、ありゃ、魔よけのお札じゃのお…」。

友人の顔が心なしか曇ります。「わりゃ(お前)、変な事ゆうなや」。そのドアの外はアパートの通路ですから、ノックしてピンポンダッシュのいたずらのように通路からいなくなるには、向こうの出口まで相当早く走らなければなりません。しかし、友人曰く、ノックの後、人が走って行く物音も気配もない、と。では、隣りの部屋の住人のいたずらか。しかし、隣りのドアの開け閉めの気配も音もない。ボロアパートのドアは建付けが悪いので、静かに開け閉めするなど無理です。よほどゆっくりやらないと。

「…」。その時は私ともう1人の友人も、それほど大した事とは考えませんでした。何かの勘違いだろうくらいに思っていましたが、今思えば、それがこの話の序章のようなものでした。

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