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不思議 その49「ゲシュタルト崩壊 アレレ…、文字が崩れていく…」


認知能力私は長い間「ゲシュタルト(独:Gestalt)」というのは人の名前、ドイツ人の名前かと思っていました。そうではなかった。「ゲシュタルト」とは「構造、形態」という意味の言葉でした。まあ、よくある勘違いで実害はないですけど…。

それはさて置き「ゲシュタルト崩壊(独:Gestaltzerfall)」という言葉に出会ったのはけっこう昔で、確か筒井康隆の小説(作品名は忘れました…)の中に出てきた言葉だったと思います。小説ですから、そんなに詳しく解説が出ている訳ではないのですが、そこでは「認知障害」のような場面が描かれていたような記憶があります。それが自分にも身に覚えのあることなので、ちょっとギョッとしましたが、当初こそ「失認」という障害の一つとして研究されていたようですけど、今では、それは健常人に起こりえることであるという認識が一般的です。ちなみに「失認」というのも結構いい加減な表現だと思います。思わず「何を…?」と突っ込みたくなりますが…。

「ゲシュタルト崩壊」というと、何やら「精神が融けていく」ようなイメージの言葉ですが、簡単に言えば、例えば(どのような文字でもいいのですが)、「あいうえお」「いろはにほへと」「立ち入り禁止」などの字を見ている時、ふと「あれ…?」ってな感じで、「これはなんでこんな文字なんだろう…」と感じ始め、文字を「構成」しているパーツがバラバラになっていき、「一つの文字」として認識できない(それほど大袈裟ではなく、目に映らない、って程度)状態になる事です。「一」ならパーツはひとつですからそうはならないのでしょうけど。

「禁止」とかっていう字は「禁」と「止」の二文字で熟語となり、それぞれの字に「つくり」があります。漢字だけではなくアルファベットでも同じなのでしょうが、要するに、二つの字の境がボンヤリとし始め、字そのものの「つくり」の境界もアヤフヤとなるような感覚で、もっと簡単にいえば、全ての文字のパーツがバラバラになり、「構造としてのまとまり」を感じられなくなってしまう事です。

では、なぜそのような現象が起きてしまうのか? 実の所、よく分かってないようです。Wikipediaの言葉を借りれば「比較的高次な認知情報処理過程によって発生する」だそうで、余計分からなくなりますね。何とか自分なりに解釈すれば、「そもそも、文字に限らず、あらゆる事象を統合的に認知できるのは人間の能力で、そこに少しばかりの不具合が起きる」って、余計分かりにくいか…。

つまり、大胆に言ってしまえば、物事を統合的に認識できるのは「お約束」があって成り立つもので、「あいうえお」の「あ」をそのように書き、一つの発音とするのは、言ってみれば「お約束」です。で、その「お約束」に少しばかりの「疑い」が生じた時、「何でこの字はこのような形で、このような発音なんだ…」と、脳が全体(まとまりのある構造)としてではなく、部分部分を見始めるからではないでしょうか? すると、その文字が持っている本来的な「形」や「意味」がバラバラになってくる、と。前述した「比較的高次な認知情報処理過程によって発生する」ということなら、「視覚」だけではなく「聴覚」など、他の感覚でも起こりえることと考えられます。

「自分」が誰であるのか、という事さえ、理屈で云えば「周りとのお約束」で成り立っているようなものです。全ての人にシカトされたら、自分と社会という「統合された感覚」が希薄化するでしょう。実際、2CHで話題になった話もあるようで、詳細は省きますが、「鏡の前に立ってそこに映っている自分」に「お前は誰だ?」と問い続けさせると、やがて、自我崩壊にまで至るそうです。まあ、そこまでを「ゲシュタルト崩壊」と呼ぶかどうかは別にして、文字がパーツパーツでバラバラになって、そこに「統合された形態」を見出せなくなってしまうことは、けっこう多くの人が経験しているのでは。

私、一応「活字好き、本好き」なので、子供の頃(まあ、まだ文字をそれほど知ってはいませんが)、いつも当たり前に読んでいる文字が、バラバラになっていく感覚をたまに覚えました。今でも、起こります。

この「ゲシュタルト(構造、形態)」という概念を「人間の認知」のコアであるとするのが「ゲシュタルト心理学(補足説明※39)」ですが、私は素朴に「ゲシュタルト崩壊」は「人間の認知能力が未成熟」である証拠ではないかと考えます。犬や猫にもそのような事があるのかどうかは聞いてみないと分かりませんが、「人間」という生き物の「不完全」さの一端を表しているように思います。

破綻覚悟で言ってしまえば、相手を人間と認めれば、それほど容易に殺害に及ぶ事があり得るでしょうか? 逆に、相手が人間に見えなかった(認められない)としたら、どうなるんでしょうか。身体がバラバラのパーツとなった無意味な記号のように見えたとしたら。それは狂気の世界ではなく、ごくごく日常的な中にもあることでは…。

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